プリンス・オブ・ウェールズは統合電気推進システム(IFEP)を採用しており、その中核が各36MWの定格出力を供給するロールス・ロイスのMT30舶用ガスタービン2基です。中速ディーゼル発電機4基とあわせ、都市の15万世帯をまかなえる109MWの電力総出力を持ち、そのうち約3分の2をMT30が発電しています。
わずか2基のガスタービンでこれほどの出力を実現したMT30は、艦艇の推進システムに画期的な変化をもたらしました。高い出力密度によって必要なタービンの数を大幅に削減し、世界各国の海軍が遂行する過酷な任務に対して、効率的かつ柔軟性と信頼性の高い解決策を提供し、優れたプラットフォーム設計を可能としました。
航空機エンジンをベースに設計・開発されたMT30は、同等エンジンとの比較で部品点数を約50%削減し、長い耐用年数と低メンテナンスコストを実現しています。特に、艦艇が想定される運用期間の50年を迎えるまで出力を維持することが保証されており、次世代レーダーから高消費電力兵器システムまで、将来求められるアップグレードを確実に支援できる能力を有しています。
MT30に加え、ロールス・ロイスは空母全体の低電圧配電システムも提供し、艦内電力ネットワークを通じて1万以上の機器に電力を供給しています。
ロールス・ロイスは、エンジンの主要製造受託者(OEM)であるだけでなく、空母計画における「動力・推進サブアライアンス」の一員として、統合電気推進システムの仕様策定、設計、統合、リスク低減、納品の責任を分担しています。
英国のクイーン・エリザベス級空母に代表されるように、ロールス・ロイスは艦艇向け動力の未来を担っています。40年以上にわたり、日本はロールス・ロイスの艦船向け製品の重要なお客様であり、MT30エンジンはもがみ型護衛艦やイージス・システム搭載艦などの海上自衛隊の護衛艦にも採用されています。また、海上自衛隊と海上保安庁の装備には多くのmtuエンジンが搭載されています。
英空母打撃群の来日は、英国と日本の深化するパートナーシップを象徴しています。ロールス・ロイスは、これからも日英両国に陸上・航空・海上を横断する先進的な動力ソリューションを提供し、相互の経済的安全保障、レジリエンス、安全保障上の利益の強化を支援して参ります。