ロールス・ロイス、最先端の水素プログラムおよび 電動ハイブリッド研究の進捗状況を発表

新たな航空の持続性を切り開くべく取り組んでいるロールス・ロイスは、7月18日、最先端の新しい水素プログラムならびに、電動ハイブリッド研究の進捗状況を発表しました。

ガスタービンの効率を継続的に改善し、持続可能な航空燃料(SAF)との互換性を実証するという公約に加え、今回発表されたプログラムも、ロールス・ロイスが、ネット・ゼロ飛行を牽引し続けるための取り組みとなります。

水素プログラム

現在、2030年代半ば以降に、水素燃料が、中小型航空機に安全かつ効率的に動力を供給できることを実証するため、一連の包括的なリグ試験とエンジン試験を計画しています。長期的には、水素プログラムの一環として飛行試験の段階にまで進めていきたいと考えています。

年内に、英国でAE2100*エンジンの地上試験を行い、将来的にはロールス・ロイスPearl15ジェットエンジンで地上試験を行う予定です。Pearl15試験の場所としては、米ミシシッピ―州にある当社試験施設を含め、様々な候補地が検討されています。試験は、燃料システム管理については英クランフィールド大学の意見を取り入れ、英ラフバラ大学およびドイツの研究機関DLRとの提携にて既に実施されている水素燃焼試験を基に実施されます。

本プロジェクトに先立ち、ロールス・ロイスも参画する、英航空宇宙技術研究所( The Aerospace Technology Institute :ATI)のフライゼロチームとプロジェクトNAPKIN(新しい航空推進の知識とイノベーションネットワーク:New Aviation Propulsion Knowledge and Innovation Network)がそれぞれ行った市場調査では、水素を動力とする航空機には潜在的な市場機会があると結論づけられています。また、このプロジェクトは、ロールス・ロイスがイージージェットとすでに行っている水素インフラと輸送に関する広範な研究を補完するものともなります。電動ハイブリッドおよび水素を動力とするシステムは、ヴィデロー航空およびエンブラエルと進めているリージョナル航空機の研究プロジェクトにも含まれています。

電動ハイブリッド研究

ロールス・ロイスの電動ハイブリッド研究は、発電システム1(PGS1)の実証機で実施されています。同実証機は、AE2100エンジンと特殊な制御・熱管理システムから構成されています。

英ブリストルとノルウェーのトロンハイムで行われた最近の試験では、航空分野では初めてとされる1.5メガワット以上の電力を供給できることが確認されました。

現在、この研究成果をもとに、PGS1の量産版の実現に向けて作業をさらに進め、航空機メーカーと将来の要件について協議しています。

ロールス・ロイスの民間航空宇宙部門プレジデントであるクリス・チョラートンは、次のように述べています。「私たちは動力のパイオニアであり、このプログラムによって、水素および電動ハイブリッドシステム実現への道を切り開ける素晴らしい立場にあります。持続可能な航空燃料やガスタービンの効率化と合わせて、我々はネット・ゼロ飛行の実現に向けた研究開発を真摯に進めています」

*AE2100 - ロールス・ロイスのターボプロップエンジン。日本では水上機US-2の動力として搭載されています。