日本の次世代エアモビリティの未来

2022年6月、国内初の「Japan Drone 2022 / 次世代エアモビリティEXPO」が開催され、メーカー、サービス提供会社、規制当局、輸送業界の専門家が集まり、次世代エアモビリティ(Advance Air Mobility: AAM)の将来について議論しました。

このEXPOは、AAMのサプライチェーンのメンバーが一堂に会し、大きな可能性を持つ新興市場について課題や機会を探り、それを支えるインフラについて考える場となりました。

注目を集めるアジア太平洋(APAC) 地域

ロールス・ロイスとローランド・ベルガーが実施した調査によると、今世紀半ばには、世界の半数以上の全電動垂直離着陸機(eVTOL)はアジア太平洋地域において運航され、その営業収益は世界全体の40%以上を占める可能性があります。2050年までにアジア太平洋地域で82,500機のAAM機が運用され、369億ドルの営業収益が見込まれます。  

日本については、同国政府が2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにすることを約束し、世界の大気中のCO2蓄積量を「ビヨンド・ゼロ」にするための革新的な技術を確立することを約束したことも考慮しています。 

人口密集地でのモビリティの実現

東京のような都市部では、eVTOL、エアタクシー、都市内飛行などのAAMソリューションが期待されています。混雑する地上交通網の負担を軽減しながら、より迅速に乗客を輸送し、これまで海を避けて迂回する必要があった近隣の都市や観光地を結ぶことができるのです。通勤・通学やインターネットビジネス向けの物流などでハイブリッドや全電動航空機を利用することにより、空気の質を大幅に改善し、歩行者や自転車に道を優先することができます。今後、東京のような都市は、AAMエコシステムによるソリューションの先駆的な例となるかもしれません。

神永晋 ロールス・ロイス ジャパン代表取締役社長にとって、今回のEXPOは、今後アジア太平洋地域がどのように変化していくかを考える機会となりました。

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「次世代エアモビリティは、既存の交通システムが飽和している都市部や島嶼ネットワークがある場所において、人々のより自由な移動を可能にすることができます。(同EXPOでは)ハイブリッドや全電動航空機とともに、充電や運用に必要なインフラにも高い関心が集まりました。ロールス・ロイスは、すでにこのすべての分野においてソリューションを提供するために取り組みを進めています」 

先例となる実績の積み上げ

ロールス・ロイスは、この分野において、数十年にわたって蓄積してきた知識と専門性をパートナー企業に提供することができます。例えば、推進、蓄電、電気システム、バッテリー管理など分野横断的に、モジュール式で拡張性ある構成要素からなるポートフォリオを開発しており、全電動やハイブリッド電動アプリケーションに対応可能です。

低炭素やゼロ・エミッションの航空輸送への需要があるノルウェーのような国では、現地の航空会社や航空機メーカーと協力して、独自の全電動旅客機を開発し提供しています。また、バーティカル・エアロスペース社が開発中のeVTOL VX4には当社のパワートレイン搭載が予定されております。

更に、持続可能な航空燃料(SAF)や水素燃焼の実用化を見越して、こうした燃料を搭載するハイブリッドや全電動航空機を進化させる技術の開発も進めています。航空機の電力配分を管理するターボジェネレーターを開発し、離陸後と着陸前に効果的に電源を切り替えることで、航続距離を伸ばすことも可能です。当社の蓄電システムでは、1回の充電で100マイル以上のゼロ・エミッション飛行が可能となる予定です。

2021年には世界最速の全電動ゼロ・エミッション航空機の飛行を実現しました。この能力を基盤に、地方や都市部のエアモビリティ市場向け動力と推進力の限界に挑戦し続けます。

日本のAAMを加速させる知識と技術

ロールス・ロイスは、数十年にわたり、日本の航空業界や研究機関と協力しエンジン技術の開発と強化に取り組んできました。また、 広範にわたる飛行試験と実証プロジェクトを通じて、最も安全なだけでなく、最も燃費の高い飛行を実現するための知識を長年にわたって蓄積してきました。

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「こうした日本の航空業界と築いてきた長い伝統に加えて、航空の安全性や認証分野で実績を持つロールス・ロイスは、日本の新しい次世代エアモビリティ技術を加速できるパートナーです。ロールス・ロイスが持つ専門知識と日本の専門家、そこに高度に発達した日本の素材技術を組み合わせることで、エネルギー転換を推進するだけでなく、環境、経済、教育の面で多くの利益をもたらすことができると確信しています」