ロールス・ロイス、リアクション・エンジンズ、英空軍緊急能力局(RCO)、英国防科学技術研究所(Dstl)、英国家安全保障戦略投資基金(NSSIF)は、革新的な極音速技術開発を通じて英国の防衛能力を大幅に強化する共同プログラムについての新たな詳細を発表しまし た。
同プログラムに参画する企業や団体の先駆的な高速推進技術と広範な研究・開発能力を基盤に、極超音速航空機実験(Hypersonic Air Vehicle Experimental: HVX)プログラムは、再利用可能な極超音速航空システムにおいて英国をリーダーとして確立することを目指します。
英国家安全保障戦略投資基金からの資金により、新型の空気吸込み推進構造、革新的な熱管理システム、高度な機体コンセプトなど、重要な高マッハ・極超音速技術を迅速に開発するために、アジャイルなプロジェクトチームが設立されました。また現在、フルスケールのエンジン試験が開始されました。
HVXプログラムの当面の目標は、再利用可能な高マッハ・極超音速航空機の開発コストを段階的に削減できる技術を短期間で開発することです。リアクション・エンジンズの新型空気予冷器と複合サイクルエンジン(SABRE)の技術は、本プログラムの重要な基盤となっています。これらをロールス・ロイスの世界最高水準のガスタービン技術と合わせることで、極超音速飛行に特有の難題にも挑戦できる確かな技術力を生み出します。
さらに、HVXプログラムは、極超音速飛行の実験的な機体のコンセプト設計も行っています。ファーンボロ国際航空ショーでは、単発の極超音速コンセプト機「コンセプトV」が公開されました。同プログラムは数多くのコンセプト設計を開発しており、本機もそのうちの1つです。
HVXプログラムは、画期的な技術実現に向けた専門性を確保すべく、今後、他の大手航空宇宙企業の参加によるプログラム拡大を予定しています。同プログラムによって開発された技術が、その他の高マッハ・極超音速航空機へも利用され、宇宙へのアクセスや迅速な地点間輸送との相乗効果を目指しています。
英空軍航空能力参謀長リンク・テイラー少将は、次のように述べています。「本プログラムは、高マッハ・プラットフォームを開発し実用化するために、英国の技術力を活用し、その実現可能性、費用や時間に関する従来の考え方へ挑戦するまたとない機会です。このパートナーシップは、将来の能力計画のために連携した取り組みを可能にし、世界級のスキルや技術を一連の短期的実験に取り入れることで恩恵をもたらします」
ロールス・ロイス 将来プログラムディレクターであるジョン・ウォーデル氏は、次のように述べています。「今回の提携により、ロールス・ロイスは、リアクション・エンジンズなどの戦略的パートナーと共に、革新的な最先端技術を開発し、顧客の軍事的要件を満たすために必要な装備を提供できるようになります。HVXプログラムは、急速に発展するこの分野における スキルと技術を発展させることによって、英国の地位を高める貴重な機会となるでしょう」