ロールス・ロイス、世界最大かつスマートな テストベッド80の初試運転完了

ロールス・ロイス、世界最大かつスマートな テストベッド80の初試運転完了

ロールス・ロイスは、最先端のテストベッド80を使った初のエンジン試運転を成功させました。数か月後の公式開設を予定しているテストベッド80は、サッカーのプレミアリーグのフィールドより広い7,500平方メートルの屋内面積を有し、航空向け屋内実証施設としては最大かつ最もスマートなテストベッドとなります。今回の試験は英国ダービーにおいてTrent XWBを使って実施され、9,000万ポンド(約128億円)を投資して3年近くをかけて建設されたテストベッドにとって大きな節目となりました。

ロールス・ロイス民間航空機部門プレジデント、クリス・チョラートンは次のように述べています。「本試験は、より持続的な航空宇宙の未来に向けた取り組みにおける画期的な出来事です。テストベッド80は、Trent XWBなどの世界トップレベルの効率性を誇る既存のエンジンだけではなく、脱炭素化に向け今後新しく出てくるエンジンや推進システムの試験も可能です。初のエンジン試験が成功したことをうれしく思っており、数か月後の公式な開設発表を心待ちにしています」

テストベッド80はTrent XWB、Trent 1000などの既存エンジン、そして次世代のより効率の高いエンジンの青写真であるUltraFan®実証機、更には将来的なハイブリッドや全電動航空システムまで幅広い種類のエンジンを試験できるよう設計されています。また、ボーイング747型機を1基で離陸できる推力155キロ重量ポンドのエンジンを含め、多様なサイズのエンジンを試験することも可能です。

ロールス・ロイスは脱炭素戦略の一環として持続可能航空燃料(SAF)拡大の振興にも注力しており、既存のエンジンにはSAFをドロップイン燃料として使う事が可能です。テストベッド80はSAFを含めた様々な燃料タイプ向けに、自動車3,000台分に相当する14万リットルの燃料タンクを備えています。

テストベッド80は高性能で複雑なデータシステムを有しています。データは直接安全なストレージに高速配信されるほか、初めてロールス・ロイスの分析モデルやエンジニアとリンクしています。当社既存のテストベッドよりデータ収集能力が30%性能向上しています。エンジン一基につき1万以上にもおよぶ異なるパラメーターから、非常に小さい振動でも検知できる複雑なセンサーにより最大毎秒20万サンプルの速度でデータを収集することが可能であり、必要に応じてデータ収集の規模を拡大できる特徴を備えています。様々な条件下で各部品の動きをモニターして得られるデータはより良いエンジンの理解につながり、ひいてはエンジンの将来的な可用性と効率性向上に欠かせない知見が得られます。

テストベッドには直線型加速器(LINAC)を使った強力なX線装置が備わっており、毎秒30画像を撮影し安全なクラウド上に直接保存しています。LINACとそこから放射されるX線を受ける受信機はトラバース装置に搭載されており、上下左右に動かせるほか、エンジンに近づけることも可能です。これら画像は前述の1万のパラメーターから取得したデータと共に世界中のエンジニアによって分析されます。X線を使用することで、エンジンの効率性の鍵となる、エンジンコア内部の静的部品と回転部品の間隔(物理的クリアランス)を把握することができます。ロールス・ロイスは運転中のエンジンをX線撮影する唯一のエンジンメーカーとなります。このユニークな試験によってエンジンの細部に至るまで検査を行い必要なレベルのデータを入手することが可能です。