ロールス・ロイス、エアバスやシェルと共に、 長距離飛行のネット・ゼロ移行加速へ投資を拡大

ロールス・ロイス、エアバスやシェルと共に、 長距離飛行のネット・ゼロ移行加速へ投資を拡大

  • ロールス・ロイス、エアバス、シェルは、長距離飛行のネット・ゼロ移行に必要な技術へ投資
  • その根幹となる持続可能な航空燃料(SAF)の生産を拡大し、国連の航空分野における「レース・トゥ・ゼロ」の目標を上回るべく、さらなる協力と賛同を求める 

国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)の開催まであと数週間となり、ロールス・ロイス、エアバス、シェルの3社は、国連の「レース・トゥ・ゼロ」で設定された長距離飛行のネット・ゼロへの移行を可能にするために、各国政府と航空業界内の横断的な協力と更なる意欲を呼びかけています。この目標達成を可能にする技術が整いつつある中、持続可能な航空燃料(以下、SAF)は重要であり、その生産拡大と普及を支えるために必要なインフラや投資、政策的枠組みに焦点を当てる必要があります。

国連の「レース・トゥ・ゼロ」では、航空の脱炭素化に必要な「ブレークスルー(突破点)」として、2030年までのSAFの使用率を最低10%としており、2050年まで100%に達しません。しかし、ロールス・ロイス、エアバス、シェルは、この目標をより早く達成するための技術に投資しています。

  • 10月14日、ロールス・ロイスは、様々な長距離航空機に使用されているトレントエンジンのすべてを、2023年までに100%SAFの使用に適合させることを発表しました。これは、同社の製造中のトレント型エンジンをテストするというこれまでの約束に加えて、ロールス・ロイスが、2年以内に世界の長距離航空機向けエンジンの約40%で、ゼロカーボン運用が可能であることを証明することになります。
  • 現在、エアバスのすべての航空機は、SAFとケロシンを50%まで混合した燃料を使用することが認められています。同社は、2030年までに、混合されていない100%のSAFを使用する認証を得るという高い目標を掲げています。 
  • シェルは、2025年までに、年間200万トンのSAFを生産することを約束しています。これは、現在世界で生産されているSAFの総量の10倍以上に相当します。2030年までに、シェルの世界の航空燃料販売量の少なくとも10%がSAFになる予定です。シェルはすでに、ヨーロッパ最大級のバイオ燃料工場をオランダに建設しており、2024年に生産を開始する予定です。

中長期的に航空業界の化石燃料使用量を削減するためには、全電動、ハイブリッド、水素利用などの新技術が重要な役割を果たします。長距離飛行の場合、脱炭素化の課題は特に難しく、SAFは、長距離飛行におけるネット・ゼロへの明確な行程を示すものとなります。航空業界では、年間約290メガトン¹の燃料を必要としていますが、コロナ禍後の航空業界の成長に伴い、この量は増加すると予想されます。航空燃料の需要を満たすため、世界のSAF生産量を今後数年間で大幅に増やす必要があります。SAFの生産を拡大し、航空業界の脱炭素化を大きく進めるためには、その技術的目標を達成するための協力体制とグローバルな政策環境が必要となります。

ロールス・ロイスの最高経営責任者(CEO)のウォーレン・イーストは、次のように述べています。「ロールス・ロイスは、テクノロジーにはポジティブな変化をもたらす力があると確信しています。私たちは、長距離航空をネット・ゼロ・カーボンに対応させるための技術があると信じています。航空機の運用は、世界の炭素排出量の2~3%を占めていますが、脱炭素化しやすい業界が脱炭素化を進めれば、(相対的に)その割合は増加していきます。よって、『決定的10年』の最初の段階に行動を起こすことで、航空業界のネット・ゼロへの道のりを短縮することは、世界全体にとっても大きな勝利となるでしょう。しかし、2030年までにSAFの使用率を10%にするという現在の目標を超えて、私たちが一丸となって意欲をさらに高めなければ、今ある目標を達成するための必要な焦点と勢いは生まれません。長距離飛行での排出量を削減するための解決策として、SAFを使用するという目標を共有するパートナーが必要なのです」

グラント・シャップス英運輸大臣は次のように述べています。「我々は、環境に配慮した航空について世界の先駆けとなっています。(英国政府は)国内にその類では初の製造工場建設のために1,800万ポンド(約27億円)を提供し、2025年から持続可能な航空燃料を確実に供給するための方法を検討しています。本日のロールス・ロイスの発表は、その構想に基づいており、意欲的なネット・ゼロ目標の実現に一歩近づき、航空業界の持続可能な未来を確保し、その過程でグリーン雇用を創出するものです」

エアバス最高技術責任者(CTO)のサビーン・クラウク博士は、次のように述べています。「脱炭素飛行への世界的な移行を進めるためには、新たな技術的道筋の発展と成熟化、運用やインフラの改善、SAFの導入と生産の業界全体でのスケールアップへの取り組みなど、複数の解決策があります。現在、エアバスのすべての航空機は、最大50%の混合燃料で運航可能です。これを2030年までに100%にするという更なる目標のため、パートナーと緊密に協力しています。その間、SAFへの取り組みを加速させるには、総力を挙げた努力が必要であり、業界や企業を超えて行動する時が今なのです」

シェル・グローバル・アビエーション社長のアンナ・マスコロは次のように述べています。「航空業界はネット・ゼロに向けて進んでいますが、その動きをさらに加速する必要があります。シェルのコミットメントは明確です。4年以内に、現在世界の総生産量の10倍のSAFを製造するということです。これを達成するには、他の業界からの参入も期待されています。ロールス・ロイスやエアバスなどのパートナーとともに、シェルは、炭素排出量を削減しつつ、飛行による恩恵が享受できる未来を創っていきます。技術やインフラへの投資を支援する規制の枠組みによって、航空業界の勢いを強化するとともに、顧客の需要も創出していきます」

脚注:

¹ 1メガトンは百万トン。また、コロナ禍以前、2019年の燃料消費量は https://www.iata.org/en/iata-repository/pressroom/fact-sheets/industry-statistics/ による。