※本リリースは7月6日に英国で発表されたものの和訳です
ロールス・ロイスは、当社の商船部門をコングスベルグへ売却することに合意いたしました。同事業の企業価値は5億ポンド(約725億円)、純売却益は約3億5,000万~4億ポンド(約507~580億円)です。
ノルウェーのコングスベルグに本社を置くコングスベルグ(KONGSBERG)は、石油ガス、商船、防衛、航空の各分野でハイテクシステムおよびソリューションを提供する国際的な知識集約型企業です。世界25カ国以上に約7,000名の従業員を有し、2017年の売上高は145億ノルウェークローネ(1,921億円)でした。海運業界においてロールス・ロイスとコングスベルグは製品、ソリューション、能力において互いに補完的関係にあります。
本売却に先立ち2018年1月ロールス・ロイスは同事業部門の戦略的評価を行うことを発表しております。売却対象には、これまで世界中のオフショア、貨物、旅客、漁業顧客向けの約1,000隻で採用された推進システム、甲板機械、自動化・制御システム、30カ国にまたがるサービスネットワーク、並びに船舶設計の能力が含まれます。商船の遠隔および自動航行を可能にする船舶用インテリジェンスの技術開発も対象となっております。
引き続きロールス・ロイスのパワーシステム傘下にあるベルゲンエンジンについては、契約によりコングスベルグにアクセスを提供することとなります。ベルゲンのディーゼルエンジン、中速ガスエンジンのラインナップは、コングスベルグが統合型船舶システム開発のリーダーであり続けるために欠かせない要素です。ロールス・ロイスの防衛事業にとっても、コングスベルグは艦艇向けに商船部品を提供してくれる重要なパートナーでありサプライヤーとなります。
ロールス・ロイス パワーシステムは引き続き、商船やヨットを含む海洋市場向け顧客にMTUエンジンを提供いたします。艦艇向けガスタービン推進システムは、引き続きロールス・ロイス防衛部門の中核事業としての取り組みを継続します。
ロールス・ロイスの商船部門は約3,600名の従業員を有し、その大半が北欧地域を拠点としています。2017年の商船部門の売上高は8億1,700万ポンド、グループの決算を反映した経常損失は7,000万ポンドでした。商船部門の売却益から約5,000万ポンドの利益寄与が予定されています(2017年決算報告に含まれる主要な費用反映後)。これら数値はロールス・ロイス船舶部門の決算に含まれております。
ロールス・ロイスのウォーレン・イースト最高経営責任者は次のように述べています。「今回の売却は過去2年以上にわたり取り組んできた事業の簡素化の一環となるものです。商船事業の売却により、3つの中核事業に注力して顧客が必要とする動力ニーズに応えることが可能となります。」
コングスベルグのゲイル・ホーイ(Geir Håøy)最高経営責任者は次のように述べています。「コングスベルグはロールス・ロイスの商船部門の獲得により、より包括的な海洋事業向けサプライヤーとなります。この業界はより一層グローバル化が進んでおり、技術的変化や市場の要求による変化の中にあります。今回の買収により船主、造船所、その他の顧客やパートナーに対する戦略的な立場を強化することができると考えています。」
ロールス・ロイス商船部門プレジデントのミカエル・マキネンは次のように述べています。「今日は商船部門にとって新しい門出の日となりました。今回の取引は、デジタル化や電化による変革が進む海洋業界にとって新しく刺激的な時代の幕開けというタイミングで行われました。
ロールス・ロイスはこうした先進的技術の担い手としてリードしてきましたが、優れた人材、市場をリードする技術、この事業を次のレベルに押し上げるというコングスベルグの意気込みにより、次の時代も引き続き成功していくことを確信しています。
今後コングスベルグと密接に連携して移行を進めていく所存です。3,600名の商船部門の社員の皆さんには、日々の業務に注力し、新規案件を獲得し、顧客の期待に応えるサービスレベルを維持してくれていることに深く感謝いたします。」
本件はロールス・ロイスならびにコングスベルグの理事会からの承認を得ており、規制当局の承認を得るとの前提で、2019年Q1に完了を予定しております。
売却価格は5億ポンドです。年金債務および引当金、売却にかかる費用、顧問料、運転資本を差し引いた純売却益は約3億5,000万~4億ポンドとなる予定です。売却益は売却完了時の最終的な運転資本により決定されます。
売却益はロールス・ロイスのバランスシート強化に充てられ、より大きな利益を生む機会を追求していくための資本として使われます。2018年3月7日に発表されたロールス・ロイスの売上高、収益、キャッシュフローの2018年見通しにも商船部門が含まれております。