課題
欧州航空宇宙研究諮問委員会(ACARE)は野心的な技術目標を設定し2025年までの実現を目指しています。ロールス・ロイスはその主要パートナーとなっています。Flightpath 2025というACAREのビジョンは2000年をベンチマークに環境技術の明確な目標を設定しています。これを達成するには航空機やエンジン技術の向上に加え、航空会社や航空管制の運用改善も必要です。
環境
二酸化炭素75%削減
航空機全体として旅客キロあたり二酸化炭素排出量を75%削減-非常に野心的なこの目標を達成するには航空機とエンジン両方のソリューションが必要です。 ロールス・ロイスではこの目標達成に貢献するためエンジンの燃料使用量30%削減という厳しい目標を設定しました。これは旅客あたり100kmにつき1リットルの燃料消費を削減するのに相当します。
窒素酸化物90%削減
空港周辺の大気環境を保つため、これまでも離着陸時の窒素酸化物排出量は厳しく規制されてきました。しかし、この年々その基準は厳格化しており、今後も厳しくなると予想されます。ロールス・ロイスではFlightpath 2050の目標達成に向けて排出量削減に向けた技術に継続的に投資しています。
騒音
騒音削減65%
Flightpath 2050は、2050年までに騒音65%削減を目標としています。この目標を実現するには、離陸時に測定する3点(サイドライン、フライオーバー、アプローチ)全てにおいて平均15デシベルの削減が求められます。大型双発機で15デシベル削減を実現するには、騒音レベルを重量が25倍軽く、推進力が20倍低い小型ジェット並みに落とさなければなりません。
消費者
世界中で何百万もの人々が日々航空機を利用するようになった現在、需要とともにメンテナンスの必要性も増加しています。また、毎日離着陸する航空機の数が増え、ターンアラウンド時間も厳しくなっています。2015年-航空機搭乗者数36億人。2030年-想定搭乗人数60億人。15年間の増加率は60%、増加人数は24億人と予測されています。
進化によるイノベーション
ロールス・ロイスは20年以上前に最初のトレントエンジンを市場に投入しました。以来、世界を牽引するエンジンとなったトレントシリーズでは、7種類の派生型エンジンを開発してきました。どの派生型も精密エンジニアリングの粋を極め、市場の課題や需要に答えるべく設計されています。トレントXWB は最も効率性が高い航空エンジンですが、この世界的エンジンの伝統を進化させたアドバンス、ウルトラファンはジェットエンジンを再定義するものとなると期待しています。トレントエンジンの成功は、継続的な投資と、あらゆる機会を捉えて完成度を高めるという取組みの上に成り立っています。お客様のニーズに応え、より良い動力開発の先駆者となるというロールス・ロイスの取組み。これを最もよく体現しているのがトレントシリーズです。
画期的ソリューション
アドバンスとウルトラファンは性能と効率を改革し、航空宇宙業界が直面する課題を乗り越える力を持った未来の航空宇宙産業を形作るエンジンです。偉大な考えだけでは課題は解決できません。未来の航空エンジンのコンセプト作りでは、1億時間以上におよぶトレントエンジン運用に基づく専門性、お客様のニーズや将来のトレンドを予測する明確な洞察力を基盤としています。業界が直面する問題の解決を、物事をより良くするソリューションに転換していくためにはこれら全てが必要です。こうした機会を活用していくことで、未来の航空産業を形作ることが可能となります。これにより、ロールス・ロイスは2つのソリューション、アドバンスとウルトラファンを開発しました。アドバンスは2020年、ウルトラファンは2025年の市場投入を予定しています。ロールス・ロイス独自の3軸エンジン構造に技術改良をふんだんに取り入れ、高効率コア圧縮とタービンシステムを備えたアドバンスは、既存の民間ターボファンエンジンとの比較で最も高い総圧力比を誇っています。つまり効率性が高く、二酸化炭素排出量が低減されるということです。ウルトラファンはアドバンスをさらに進化させたエンジンで、アドバンスの技術に加えてバイパス比がより高くなっています。その結果、燃費がさらに高くなり二酸化炭素排出量もさらに削減され、騒音も大幅に低減されています。
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