YS-11開発では、座席数60席、離着陸時の滑走距離1,200メートル、航続距離600海里(約1,100キロメートル)という具体的要件が定められていました。しかし、当時、これらの要件を満たす航空エンジンはほとんど存在していませんでした。
英国では、ロールス・ロイスが開発したダート・エンジンがすでに運用されていました。フォッカーF27フレンドシップ・ターボプロップ旅客機の動力としての信頼性を得ていましたが、YS-11が必要とする出力には達していませんでした。
そのためロールス・ロイスは、YS-11の仕様に合わせてダート7の水メタノール噴射スケジュールを変更し、離陸時の推力をさらに高める強力なソリューションを備えたダート10を提供しました。