ロールス・ロイス全電動航空機「スピリット・オブ・イノベーション」初飛行

ロールス・ロイス全電動航空機「スピリット・オブ・イノベーション」初飛行

2021年9月15日、ロールス・ロイスの全電動航空機「スピリット・オブ・イノベーション」は初飛行を行いました。同日午後2時56分(英国時間)、同機は500馬力以上(400KW)の強力な電動パワートレインと、航空機用としては最も高密度のバッテリーパックを搭載し空へと飛び立ちました。  本初飛行は、同機が目指す世界記録達成に向けた新たな一歩であり、脱炭素化に向けた航空業界の道のりにおける節目となります。

ロールス・ロイスのCEOウォーレン・イーストは次のように述べています。「スピリット・オブ・イノベーションの初飛行は、ACCELチームとロールス・ロイスにとって素晴らしい成果となりました。私たちは陸海空全ての交通を脱炭素化するため、またネット・ゼロ移行における経済的機会を獲得するために、社会が必要とする画期的技術を生み出すことに注力しています。ACCELプログラムで開発された先進的なバッテリーと推進技術は、都市部のエアモビリティ市場にも応用可能で、「ジェット・ゼロ」の実現に貢献できると考えます。」

クワシィ・クワーテン英ビジネス・エネルギー・産業戦略大臣は次のように述べています。「ロールス・ロイスの革新的なスピリット・オブ・イノベーション号の初飛行は、世界がよりクリーンな飛行形態へ移行する上での大きな一歩となりました。今回の成果、そして今後期待される記録は、英国が航空宇宙イノベーションの最前線にあることを示すものです。このようなプロジェクトの支援を通じて、政府は、投資を活用し、気候変動抑制に必要な、よりクリーンで環境に優しい航空機を実現するための、限界を超える技術の推進を支援しています。」

同機は、キネティック社が管理する英国防省のボスコムダウン試験場から離陸し約15分間飛行しました。ボスコムダウンは長年にわたって試験飛行が行われてきた歴史がありますが、今回の初飛行から集中的な飛行試験を通じて、航空機の電力および推進システムに関する貴重な性能データを収集する段階が始まります。ACCELプログラムは「飛行の電動化を加速する(Accelerating the Electrification of Flight)」の略で、電気モーターと制御装置を製造するYASA、航空新興企業であるElectroflightが主要なパートナーとして参加しています。ACCELチームは、英国政府の定めるソーシャルディスタンスやその他の健康ガイドラインを遵守しながら、技術革新を続けてきました。

プロジェクト資金の半分は英ビジネス・エネルギー・産業戦略省およびInnovate UKとのパートナーシップに基づき航空宇宙技術研究所(ATI)より提供されています。第26回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)に向け、ACCELプログラムは、英国がゼロエミッション航空機革命の最前線に位置していることを示しています。

ロールス・ロイスはeVTOLからコミューター機まで、顧客のプラットフォーム向けに包括的な電動推進システムを提供しています。ACCELプロジェクトで培った技術を活用し、この新しい画期的市場向け製品に応用していく予定です。実際、エアタクシーが必要とするバッテリー要件は、時速300マイル(時速480キロ)のスピード新記録を目指す「スピリット・オブ・イノベーション」のために開発されているものと非常によく似ています。また、ロールス・ロイス並びに機体メーカーのテクナムは、スカンジナビア最大のリージョナル航空会社ヴィデローと、2026年の運航開始を目指してコミューター市場向けの全電動旅客機に取り組んでいます。

ロールス・ロイスは、国連の「Race to Zero(レース・トゥ・ゼロ)」キャンペーン参画から1年を経た今年6月、二酸化炭素排出量を実質ゼロにするための行程を発表しました。当社が事業を展開するグローバル経済の重要分野で脱炭素化を支援する方法のひとつが「スピリット・オブ・イノベーション」です。2030年までに自社の新たな製品がネットゼロカーボン運営対応となり、2050年までに全製品がネットゼロカーボンになることを宣言しています。

写真やビデオ映像はこちらから入手いただけます。
https://www.flickr.com/photos/rolls-royceplc/albums/72157705298410174
https://vimeo.com/605839135